- 記録的猛暑とはいえ,やはり秋の空気。雲も大部分は秋の雲だし。最近,夏の雲と秋の雲が一緒に出ていることが多いので,空の写真を撮っている人はチャンスですよ。
- 新聞を読んでいたら,
- ""プラセボの語源は、喜ばせるというラテン語だ。
- という記事が目に入った。意外に思ったが,たしかに,placeboという言葉がある。しかしなんで「偽薬」という意味になるんだろう,と思って調べてみると,もともと,欧米で葬式の時に用いる旧約聖書の詩編の言葉に由来するらしい。さっそくVulgata訳聖書を見てみると,たしかに,
- ""placebo Domino in regione vivorum. (Psalm. 114, 9)
- という一節がある。ざっと,「生きている人たちの領域で,私は主に気に入られるであろう」という意味。日本語の聖書ではどうなっているか見てみると,新共同訳は,
- ""命あるものの地にある限り
- ""私は主の御前に歩み続けよう。(116, 9)
- 文語訳は,
- ""われは活るものの國にてヱホバの前にあゆまん (116, 9)
- となっていて,なんか微妙に意味が違う。これは英語でも,
- ""I will walk before the Lord in the land of the living.
- となっていて,なぜか「前に歩む」という訳になっている。
- 困った。placeboは,決して「前へ進む」という意味にはならない。たぶんどこかで間違えられたのだろう。考えられるのは,praecedoで,aeはeと表記されることがあるから,precedoと書かれる。これはまさに,「前へ進む」という意味なので(英語のprecedeの語源),これと見間違えたのではないかな。(そんないいかげんなことがあるのか。){{fn 'これについてはこの記事のcommentを参照。'}}
- 話を戻すと,placeboは,placeoの一人称単数未来形。ただ,placeoは少し訳しにくい言葉で,たとえば初級ラテン語文法では,
- ""Poetarum fabulae puellis placent.
- というような例文があって,これは,「詩人たちの物語が少女たちの気に入る」と訳す。変な日本語だ。「詩人たちの物語が少女たちを喜ばせる」でいいじゃないかと思うかもしれないがが,文法上のポイントは,placeoが自動詞だという点。placentの主語はfabulae(物語)で,それがplacentしている。実際に気に入っているのは少女たちで,これは与格に置かれる。
- だから,
- ""placebo Domino
- は,「私が,主の気に入られるだろう」「主が私を気に入るだろう(喜ぶだろう)」であって,「私が主を喜ばせるだろう」ではない。新聞を読んだときにちょっと違和感を覚えたのはこの微妙な違いのせいだろう。
- ちなみに,placeboはラテン語では「プラ''ケー''ボー」(教会ラテンだと「プラ''チェー''ボー」)なので,「プラセボ」よりは「プラシーボ」の方が,より語源に近いと思います。てか,英語でも「プラシーボウ」と言うと思うので,「プラセボ」って,どこの言葉?医者のドイツ語なまり?
- (お気づきの方もいるだろうが,この記事も微妙にWikiスタイルのテストである。)
- 今日も居留守をして==極秘の==お勉強にいそしむ。
- 気温が高く,無理ができない。しかし,少し体に元気があるというか,よろよろという感じではなく,すたすたという感じで走る。タイムはそれほどよくないが,主観的に快調。87' 08''/10km。